子育てをしながら仕事をするうえで、大きな壁になるのが「働ける時間の制限」です。
保育園や学校の時間に合わせなければならないだけでなく、子どもの体調不良や行事、長期休暇などにも対応しなければなりません。特に、ひとりで子育てをしている家庭では、一般的なパートやアルバイトのシフトで働くことが難しい場合もあります。
そこで、子育て世代の働き方の一つとして紹介したいのが、Uber Eatsなどのフードデリバリーの仕事です。
今回は、実際に子育てをしながら副業としてフードデリバリーの仕事をして月に数万円の収入を得ている筆者が、メリットだけでなく、収入面や働き方の注意点も含めてお伝えします。

フードデリバリーとは?
フードデリバリーとは、飲食店などで商品を受け取り、注文したお客さまのもとへ届ける仕事です。
一般的なアルバイトとは異なり、Uber Eatsなどでは配達パートナーとして登録し、業務委託の形で個人事業主として仕事をします。会社に雇用されるわけではないため、決められた勤務時間やシフトはありません。
業務を始めたいときは専用アプリをオンラインにし、配達依頼が届くのを待ちます。依頼を受けたら店舗へ向かい、商品を受け取って配達先まで届けます。
配達には、主に次のような車両が使われています。
- 自転車
- 原付バイク
- バイク
- 軽自動車
地域や生活スタイルによって、適した車両は異なります。都市部では自転車やバイクが便利ですが、地方では配達距離が長くなることもあり、軽自動車の方が動きやすい場合があります。

フードデリバリーを仕事にするメリット・デメリット
メリット
子育て中の人にとって、最大のメリットは「自分の都合に合わせて働けること」です。
通常のパートでは、子どもが急に発熱した場合、勤務先に連絡して休ませてもらわなければなりません。しかし、フードデリバリーには基本的にシフトがないため、働く予定だったとしても、アプリを起動しなければ仕事を休めます。
学校行事や通院、習い事の送迎にも合わせやすく、予定が空いた日に数時間だけ働くこともできます。
また、人間関係の負担が比較的少ないこともメリットです。店舗のスタッフやお客さまとの短いやり取りはありますが、基本的には一人で移動して配達します。職場の人間関係が苦手な人にも取り組みやすい仕事です。
そのほか、特別な資格や経験がなくても始めやすく、働いた分の収入を比較的早く受け取れる点も魅力です。
デメリット
一方で、収入が安定しにくいという大きなデメリットがあります。
フードデリバリーは時給制ではありません。配達件数や距離、注文数などによって報酬が変わるため、待機していても依頼が来なければ収入になりません。
雨の日や週末、昼食・夕食の時間帯は注文が増えやすい傾向がありますが、地域によって状況は異なります。思っていたほど依頼が入らない日もあります。
また、ガソリン代、車両の維持費、スマートフォンの通信費などは原則として自分で負担します。売上がそのまま利益になるわけではありません。
そのほかにも、次のような注意点があります。
- 夏の暑さや冬の寒さが厳しい
- 雨の日は事故の危険が高まる
- 商品の破損や配達先間違いに注意が必要
- 確定申告が必要になる場合がある
- 働けない期間の収入保障がない
自由度が高い反面、自分で安全管理や収支管理をしなければならない仕事です。

実際にフードデリバリーを始める流れ
1.配達に使用する車両を決める
まずは、配達に使用する車両を決めます。
主な選択肢は、自転車、バイク、軽自動車です。都市部では自転車やバイクが小回りを利かせやすく、配達範囲が広い地域では軽自動車が便利です。
自転車や125cc以下のバイクであれば、基本的にナンバーを事業用へ変更する必要はありません。一方、125ccを超えるバイクは緑ナンバー、軽自動車は黒ナンバーへの変更が必要です。
2.必要に応じて事業用ナンバーを取得する
125ccを超えるバイクや軽自動車を使う場合は、配達サービスへ登録する前に、事業用車両としての手続きを行います。
例えば軽自動車の場合は、営業所(自宅等)の住所を管轄する運輸支局へ「貨物軽自動車運送事業」の届出を行います。その後、受理された書類と車検証、現在のナンバープレートなどを持って軽自動車検査協会へ行き、黒ナンバーへ変更します。
必要な書類をあらかじめそろえておけば、基本的には1日で完了します。スムーズに進めば、数時間ほどで事業用ナンバーを受け取ることも可能です。ただし、運輸支局や軽自動車検査協会は、時期や時間帯によって混雑することがあります。書類の記入や窓口間の移動にも時間がかかるため、時間に余裕のある平日に手続きするのがおすすめです。
現在は軽バンだけでなく、一定の条件を満たせば一般的な軽乗用車も使用できます。ただし、黄色ナンバーのまま有償で商品を配達することは違法になります。
ローンやリースを利用している車は、事業用へ変更できない場合もあります。手続きを始める前に、車の所有者である販売店やローン会社へ確認しましょう。
なお、2025年4月から軽貨物事業者向けの制度が改正され、黒ナンバー取得後にも安全管理に関する手続きが必要になりました。詳細は国土交通省の最新情報をご確認ください。
3.保険の補償内容を確認する
バイクや軽自動車を使う場合は、現在加入している保険で、配達中の事故も補償されるか確認しましょう。
自転車の場合も保険への加入が必要です。岐阜県では2022年10月から、日常生活だけでなく、業務で自転車を利用する場合についても、自転車損害賠償責任保険などへの加入が義務付けられています。
ただし、すでに加入している自転車保険や、自動車保険・火災保険などに付帯している個人賠償責任特約では、フードデリバリーの配達中に起きた事故が補償されない場合があります。必ず「業務中の事故も補償されるか」を確認しましょう。
難しく考える必要はなく、まずは加入中の保険会社や代理店へ「フードデリバリーの配達に使いたい」と相談すれば、必要な変更について案内してもらえます。
現在の保険では対応できない場合や、自分で保険を比較するのが大変な場合は、「ほけんの窓口」などの保険ショップに相談する方法もあります。用途に合った保険探しや申込みをサポートしてもらえるため、一人で調べて手続きを進めるよりも負担を減らせます。
保険料だけでなく、配達中の事故も補償対象になるかを確認して選ぶことが大切です。

4.配達サービスへ登録する
車両の準備ができたら、働きたいフードデリバリーサービスの公式サイトやアプリから、配達パートナーとして登録します。
一般的には、次のようなものが必要です。
- 身分証明書
- 顔写真
- 報酬を受け取る銀行口座
- スマートフォン
- 車検証や自賠責保険証明書など、使用車両に応じた書類
必要書類を提出し、審査が完了すれば配達を始められます。
5.配達に必要な道具を用意する
登録と並行して、配達に必要な道具もそろえます。
- 保温・保冷ができる配達バッグ
- スマートフォンホルダー
- モバイルバッテリー
- 雨具
- 商品を固定するタオルや緩衝材
登録するサービスによっては、配達バッグに指定や推奨条件が設けられている場合があるため、購入前に確認しておきましょう。
飲み物や汁物は、移動中に傾くとこぼれてしまいます。バッグの中に仕切りやタオルを入れ、商品が動かないようにする工夫も必要です。
準備ができたら、まずは自宅周辺で1件だけ配達してみましょう。最初から長時間働こうとせず、アプリの操作や商品の受け取り方、配達先での対応に少しずつ慣れていくのがおすすめです。


フードデリバリーで働く、ある日の一日
8:00 子どもと夫を送り出す
園への送りは夫の役目。家事を済ませて出発準備。

10:30 稼働開始
注文が集まりやすい飲食店エリア(岐阜駅周辺や環状線沿いなど)へ向かい、アプリをON。

11:00 – 13:30 ランチタイムのピーク
車内のエアコンを効かせながら、快適にピック&デリバリー。数件配達!

14:00 稼働終了・買い物
アプリをOFF。帰り道にあるスーパーで今夜の夕食の食材を買い出し。

15:00 子どもをお迎え
子どもをお迎え!午後は家族の時間を大切に過ごします。

フードデリバリーで働く岐阜の子育て世代のリアルな声
①未就学児ママ
子どもがまだ小さいと、急な発熱や保育園からの呼び出しも多く、決まったシフトで働くことに難しさを感じていました。
フードデリバリーは、子どもを保育園へ送ったあとにアプリを起動し、お迎えに間に合う時間まで働けます。「今日は午前中だけ」「今週は子どもの体調が不安定だから休む」など、自分で調整できるのが一番のメリットです。
特に助かるのは、急に休んでも職場へ連絡したり、代わりに働いてくれる人を探したりする必要がないこと。子どもの体調が悪いときは、気兼ねなくそばにいてあげられます。
一方で、毎日同じ件数を配達できるわけではないため、収入は安定しません。保育園へ預けている時間すべてを配達に使えるわけでもなく、注文が少ない日は思ったほど稼げないこともあります。
それでも、子どもの予定を優先しながら、自分の判断で働く時間を決められるのは大きな魅力です。生活費のすべてをフードデリバリーで賄うのではなく、家計を補うための仕事として無理のない範囲で続けています。

②副業として始めた中学生ママ
子どもが中学生になり、以前より手がかからなくなったため、パートの仕事に加えてできる副業を探していました。
これから必要になる学費や塾、習い事の費用を少しずつ準備したいと思ったのが、フードデリバリーを始めたきっかけです。家族旅行や子どもとのお出かけなど、生活費以外に使えるお金も増やしたいと考えていました。
最初は、特別な準備がいらない自転車で配達を始めました。しかし、岐阜では配達範囲が広く、自転車だと受けられる依頼が少ないと感じたため、途中から自家用の軽自動車へ切り替えました。事業用の黒ナンバーを取得する必要はありましたが、移動できる範囲が広がり、天候にも左右されにくくなりました。
本業が休みの日や、子どもが学校へ行っている時間、週末に予定がない日などを利用して配達しています。新しくアルバイトを掛け持ちすると、決まったシフトに入らなければなりませんが、フードデリバリーなら本業や家庭の予定を確認してから働く日を決められます。
私はUber Eatsに登録していますが、件数や天候でボーナスが出ることもあるので、ゲーム感覚で楽しく働けます。
岐阜県内でフードデリバリーを利用しやすいエリア
筆者は「Uber Eatsで宅配してる」というと、「岐阜でも利用できるの!?」とよく驚かれます(笑)
そんな認識の方々に、加盟店舗がある地域をご紹介します。
各務原市から大垣市までの県南部エリア
岐阜駅周辺を中心とした岐阜県南部には、Uber Eatsや出前館、menuなど、フードデリバリーサービスの加盟店舗が比較的多く集まっています。
筆者は岐阜市を中心にUber Eatsの配達をしていますが、東は各務原市の鵜沼周辺、西は大垣市、南は羽島市の店舗から配達依頼が入ることもあります。
関市・美濃加茂市・可児市周辺
中濃エリアでは、関市、美濃加茂市、可児市の市街地を中心に、フードデリバリーの加盟店舗があります。
駅周辺や幹線道路沿い、大型商業施設の周辺には、ファストフード店やファミリーレストランなどのチェーン店が集まっています。Uber Eatsだけでなく、出前館などに対応している店舗もあります。
多治見市・土岐市などの東濃エリア
東濃エリアでは、多治見市や土岐市、瑞浪市などの市街地を中心に、フードデリバリーを利用できます。
なかでも多治見市は、駅周辺や国道19号沿いに飲食店が多く、東濃エリアの中では比較的加盟店舗を見つけやすい地域です。土岐市や瑞浪市でも、商業施設や幹線道路沿いを中心に対応店舗があります。
高山市中心部などの飛騨エリア
飛騨エリアでは、高山市の中心部を中心にフードデリバリーを利用できます。
高山駅周辺や市街地には飲食店や宿泊施設が集まっており、地元の方だけでなく、観光客や宿泊客から注文が入ることも考えられます。
一方、中心部を離れると店舗と配達先の距離が長くなりやすく、冬は積雪や路面凍結にも注意が必要です。サービスによって対応エリアが異なるため、稼働前に各アプリで加盟店舗や配達範囲を確認しましょう。
地方では、ひとつのサービスだけでは配達依頼が少ない場合があります。複数のフードデリバリーサービスに登録し、注文状況を見ながら使い分けるのも方法のひとつです。

まとめ
フードデリバリーは、子どもの体調や学校行事に合わせて、自分の都合のよい時間に働ける仕事です。また、収入が安定しにくく、車両費などの経費もかかるため、まずは副業や家計の補助として、無理のない範囲から始めてみましょう。子育てと両立できる働き方の選択肢の一つになるはずです。
子どもの預け先がなく、「働きたくても働けない」という家庭があるのも現実です。フードデリバリーは、そうした家庭でも家庭の事情に合わせて働く時間を調整しやすい仕事です。そうした事情から、子どもを同乗させて配達する人もいます。配達を検討する場合は、安全面や法令、各サービスのルールを十分に理解し、ご家庭の状況に応じて慎重に判断してください。
また、事業用ナンバーを取得し、各サービスの登録条件を満たせば、フードデリバリーだけでなく、Amazon Flexなどの軽貨物配送サービスにも挑戦でき、将来的に仕事の幅を広げることもできます。
なお、対応エリアや加盟店舗などの情報は2026年7月時点のものです。今後変更される可能性があるため、登録・稼働前には各サービスの公式サイトやアプリで最新情報をご確認ください。







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