【大垣市】地域をつなぐ羅針盤―子育て支援市民団体『いるかのこそだて』

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子育ては孤独に陥りやすいものです。そこから悲しい結果を引き起こさないよう、日々奔走している女性がいます。『いるかのこそだて』はそんな松好和子さんが代表の大垣市のボランティア団体です。子ども食堂やイベント開催を通して地域を繋げる活動をしています。今回は、その活動内容や松好さんの活動への思いをお届けします。

目次

『いるかのこそだて』とは

『いるかのこそだて』は大垣市新田町の『café & kitchen どるふぃん』を拠点に活動する大垣市のボランティア市民団体です。保育士資格を持つ代表の松好和子さんが、子育て支援のためのボランティア団体として「できる時に、できる人が、できることを」をモットーに2017年に立ち上げました。

地域みんなで子育てを!『いるかのこそだて』の活動内容

子ども(多世代)食堂

毎月第4日曜に子ども(多世代)食堂を開催しています。会場は基本的にcafe&kitchen どるふぃんの駐車場で、屋外での開催です。子どもは無料、大人は協力金300円以上で参加でき、集まった協力金は運営費や次回以降の活動に充てられます。食事提供の他、各方面から寄付された食材や日用品の配布、鮎つかみやクリスマスツリーづくりなど季節に沿った子ども向けの催しを提供しています。

『café & kitchen どるふぃん』は味の素グループと提携してアジパンダ食堂としても機能しており、店内で食事をすればその一部が子ども食堂の運営費になります。手軽にボランティア活動ができるのはいいですね。

夜ごはん支援

毎週木曜の18時から19時には「夜ご飯支援タイム」として、特製ハヤシライスを300円で提供しています。『Dream Ticket』という1枚100円のチケットが『cafe&kitchen どるふぃん』で販売されており、購入されたチケットは店内に掲示されます。子どもはチケットを利用して、この時間内だけ食事ができます。経済的な事情に関わらず誰もが温かい食事を楽しめます。こちらのチケットの購入でも、手軽に子育て支援ボランティアができます。

地域をつなぐイベント開催

核家族は当たり前、さらにコロナ渦を経て、地域のつながり・世帯同士のつながりが希薄になってきている現代。そんな今だからこそ、子育て世帯の孤立を防ぐため、地域の企業や住民と連携して交流イベントを開催しています。世代や立場を超えて地域で子育てをする、そんな土壌づくりを目指しています。

災害ボランティア

能登半島地震などの被災地にも支援の手を差し伸べ、現地で炊き出しやコミュニティ支援を実施しています。被災地で得た「人の縁こそ最大の防災」という教訓を日々の活動にも反映し、SNSで現地の状況などを伝えたり、防災についてのイベント開催など、防災への意識を高める活動にも取り組んでいます。

『いるかのこそだて』代表 松好和子さんにインタビュー!

『いるかのこそだて』代表・松好和子さんに活動へのお話を聞きました。

― 活動はいつ頃からやられてるんですか?

松好さん(以下松好) 市民団体登録は2021年です。でもボランティア活動はその前からやってますよ。

― どのくらいになるんですか?

松好 さかのぼれば小学生から。私が通ってた小学校にJRC委員会っていうのがあって、5年生・6年生が入るんですけど、夏にいろんな学校から代表者が集まって、高齢者体験とか目が見えない人の体験とかをする研修会の合宿があったんです。そこに参加して、いろんな年齢の方と接したり、いろんなことを考えるようになってからですね。

― 小学校でそんな活動があるなんて知りませんでした。

松好 子供ながらにいろいろ考えさせられましたよ。ある時耳鼻科で靴がぶわっと散らばってたことがあって、靴探しに時間がかかって帰るに帰れなくてそれを待つ人も出始めてて、それを見ててしたいなと思ったから靴を揃えていったんです。そしたら手伝ってくれる人が出てきたり、その後の人はみんな揃えて入ってくれるようになって。そこから、そういう気付いたときにできることを少しずつするようになったんです。

― 意識が芽生えたんですね。

松好 地下道の落書きがひどいなと思った時は、友達を誘って消しゴムとか子どもながらにいろんな道具を持ち寄って綺麗に掃除したんですよ。そしたらその後に入った町内の清掃活動が表彰されたりして、当時は「私たちが地下道を綺麗にしたからなのに」とか思ったりもしましたが(笑)、そもそも褒められたくてやったわけじゃないし、気になるからみんなでやったって感じでした。

― 綺麗にした方が気持ちいいなと思ったんですね。

松好 そうそう。私おばあちゃんが大好きだったんです。すごく厳しい人だったんですけど、愛情をもって厳しいっていうのがわかる人で、美味しいお菓子をいただいたらみんなで分けて、「美味しかったね」って共有した方がもっと美味しいよねっていうような人でした。「たくさん食べたいかもしれんけど、分け合った方が順繰り順繰り回って自分のとこに返ってくる」って話を生活の中でしてくれて、「自分の時には返ってこないかもしれないけど、1つ代を飛ばして孫のとこに返ってくる」って言ってたんです。「私が積んだ徳が、あんたのとこへ行ったらいいな」って言ってくれてて、だからなのか私は今すごく人に恵まれてるなと思います。

― 素敵なおばあさんですね。

松好 そうなんです。おばあちゃんが節々で、自分に厳しく人に優しくっていう人だったんで、そこが原点かもしんないですね。自然に身についてるっていうか。

― 『いるかのこそだて』はどういう流れで発足されたんですか?

松好 それはね、もう物理的なことで、ボランティア行事保険が安く入れるから。団体を立ち上げなくてもよかったんですけど、子ども食堂やるにあたって、食中毒だったり怪我だったりっていうところに備えてボランティア行事保険ってのがあると聞いて入ろうとした時に、とりあえずなんでもいいからって団体名が必要だったんですよね。それで子育てサポートをしたかったから、お店の名前から『いるかのこそだて』にするかとなりました。

― 団体名が先立ったんですね。

松好 で、活動していくためにきちんとした団体から物資をいただこうっていう時に、やっぱ団体がないといただけないんですよね。個人では利用できなくて。やっぱ団体あった方がいいっていうことで、知人が「市民団体だったら登録簡単だよ」と教えてくれたので、じゃぁ、と団体登録しました。

― やりたいことの形式上必要だったんですね。

松好 そういう物理的なところで団体は発足した感じですね。1番最初は「こんなことやりたいからとりあえずなんか手伝ってくれ」みたいな感じで、知り合いとか友達とか、それこそバイトの子とかお客さんとかに声かけて名簿に名前書いてもらいました。ボランティアの活動に興味があるとかじゃなくて、私がやるからって手を貸してくれた人たちで始めました。

― 活動としては子育て支援なんですよね。保育士資格もお持ちとのことですが?

松好 そうですね、でも保育士になったのは次男が高校生になってからなんですよ。子どもは大好きだったけど、私の中で「自分の子供を預けて人の子供を見る」っていうことがずっと腑に落ちなくて。息子の保育園の園長先生とかからも「お母さんやらへん?」って何回も声をかけていただいたりしたんですが、そこが消化できなくてずっとやってなかったんです。

― 結構遅かったんですね。

松好 保育士は丸3年やったんですけど、その間にいろんな保護者の方と接して、いろいろな家庭環境とか、その背景が見えました。当時は担任を持っているわけでなく補佐する立場だったので、担任が見きれない、特性をもってるような子のサポートに入ることが多かったんです。そうすると、結局お母さんも担任だけじゃなく私にも相談したいと言ってくださるようになりいろんな話を聞くんですけど、担任ではないのでアドバイスをしたり具体的な対応をすることができなかったんです。

― うーん、立場上動けなかった、みたいな。

松好 そうですね。園の方針もあるし、担任の方針もあるので、それに従わざるを得ないんです。そんな中で、ちょっと本当になかなか難しいケースにぶち当たったこともあって、その家庭の中の状態とか子どもの状態を聞いて本当にこれは緊急だなと思って報告したことがあったんですけど、それももう上が問題なしと判断したらなしになっちゃうんです。

― そんなこともあったんですね。

松好 そこで、「組織にいるからできない」という状況に限界を感じて退職を意識しました。子供は大好きだし、子供と接したいし、保育園の3年間本当楽しかったんですけど、なんかいろんなジレンマがあって。

― そのタイミングでお店を始められたんですか?

その辺りで今の『どるふぃん』の店舗兼自宅と出会って。家族に「ここを買わなかったら私後悔する気がする」って言って保育園を退職して開店しました。当時の保育園のお母さんや子どもたちが来てくれて、そのお母さんたちが来たい時に来て、話したい話ができたんですよね。いち保育士ではできなかったけど、お母さんに寄り添って話が聞けたり助言ができるようになったんです。保育園での仕事も楽しいけど、やっぱり私が子どもと関わる、お母さんと関わるとこは保育園じゃないなと思いました。

― 自分のやりたい形が見えたんですね。

松好 その後はファミリーサポートの登録をして、預かりをしたりもしましたが、今年に入ってベビーシッターとして開業届を出しました。そこに至るまで、例えばコロナのときは、お母さんが県外に住んでてすぐ来れないとか、孤独の中で出産、子育てした人たちにも接しました。私と知り合いだったらすぐに助けに行くんですけど、私と繋がってない人を何とか助ける方法はないかと思って。

― それがベビーシッター業だったんですね。

松好 ”ドゥーラ“って知ってます?「女の人に寄り添う女性」って意味で、産前産後の女性をサポートをするドゥーラって仕事があるんですよ。それになりたくて。みんなのお母さんになりたいなと思ったんですよね。でも知らない人にそんなこと頼めないじゃないですか。でも、仕事として依頼されて行く、ママも「お金を払って来てもらう」だったら頼みやすいですよね。

― 確かに。

松好 私一人では助けられる範囲に限界があるから、そういう働きができる人を増やしたいとも思ってます。私の考えに同調してくれる潜在保育士さんとかにその登録をしてもらい勉強してもらって、誰か困ったお母さんがいたら飛んでいく、そういう人を増やしたいんです。私一人だったら無償でもいいんですけど、そういう人を増やすってなったときに対価もないのにやりたいっていう人はまずいないですよね。だからそれを仕事として成立させられる仕組みを作っていこうとしてます。

― 『いるかのこそだて』と並行して今取り組まれていることなんですね。

松好 仕組みが作れて働く人が出てきたとして、利用する人も行政だったり企業ないしが利用料を補助する形を取れないかなとも思って、そういう働きかけのためにも動いてます

― 松好さんのその原動力はどこから来るんでしょうか。

松好 私は誰一人として子どもが命を落として欲しくないんです。たとえ心中でも交通事故でも。私の願いは、今の子ども達がしっかり大人になって、お父さんお母さんになって欲しいってことです。私は長男を交通事故で亡くしていて、それが本当に辛かったんです。だから、そういう思いをする人をなくしたい。子どもたちの命を守りたいから、お母さんのフォローもする。本当にもう、とにかく死なないで欲しいんです。

― そうですね…。

松好 本当に生きてくって、苦しいと思うんですけど、死んだら楽になるかっていったら、そうじゃないかもしれないし。死ななければ、これ以上のない喜びを感じる時とか、すごい楽しい!って思うこともありますからね。綺麗!って感動したり。そういう気持ちとかを感じられないままに死んでほしくないんですよ。私は離婚して、長男亡くして、子ども連れて死のうかって考えたこともありますけど、助けてくれた人がいたから今があります。お母さんたちもお父さんたちも人生に絶望したとしても、どこか何か突破口はあるから、その時苦しくても、子供を連れて行かないでほしい

― ありがとうございます。最後に、ご自由にメッセージをどうぞ。

松好 「繋がろうよ」ってことですかね、うん。それぞれに生きてればいいし、核家族がいきなりね、大家族で暮らすなんて無理ですから。そういうことじゃなくて、それぞれ、もう団体だって家族だって、若い子だって1人だって、それぞれでいいと思ってるんですけど、繋がれる時は繋がろうよっていう。年のうちに何回かでいいから。年寄りのプライドも、若者のプライドも捨てて、いろんな他の人たちを敬う気持ちで集まれるような場が持てたらって思います。もし震災が起きて避難生活が始まったとして、そうやって繋がっていたら、お互いを思いやりながら過ごせるかなとか思ったりします。ベビーシッターとしては、もう本当に遠慮なく頼ってって思います。

松好和子さん

保育士。

大垣市民団体『いるかのこそだて』代表

『café & kitchen どるふぃん』店長

『café & kitchen どるふぃん』に行ってみた!

かわいいイルカイラストの看板。どるふぃんはこどもの居場所としても利用できます。大垣市では子どもの見守り・居場所づくりの事業として『こどもんち』という取り組みがあります。登録している店舗施設は、子どもが一人で気軽に入店OKです。

これがメニュー!『みんなのおかんの店』『おかんのもーにんぐ』の文字に松好さんの思いが表れてますね。ランチ「おかんのおしつけごはん」はその日ある食材を使った日替わりメニュー。「出されたものを黙って食べなさい」という、まさに「おかんの押し付け飯」だそうです(笑)。利益の一部は子ども食堂の運営費になりますよ。

こちらが夜ごはん支援にもなっているハヤシライス!まさに「お母さんの手料理」って感じの味でめちゃくちゃおいしいです。私は家から車で30分くらいかかるのに1~2週に1度は食べに行っています(笑)。私がお邪魔した日の「おしつけごはん」はチキンソテーでした。小鉢がたくさんでうれしい~。

私もDreamTicketを買わせていただきました。見つけたらどうぞ使ってくださいね!飲食をせずこのチケットだけを買いに来る方もいるそうですよ。DreamTicketが掲示されているボードは近所のHonda Cars 岐阜中央大垣新田店の寄贈。社員さんがよくランチにいらっしゃって、地域のためにいろいろと協力してくださるそうです。

店内の4分の1くらいはキッズスペースです。おもちゃがたくさん!ベビーベッドも完備!トイレには子ども用便座もバッチリ備えてあります。

レジの横には募金箱があります。入ってすぐにある冷蔵庫には支援してくれた団体や企業、人のお名前が掲示されています。こんなにたくさんの協力を得て活動されてるんですねー。

アクセス

『café & kitchen どるふぃん』は大垣市民病院の南にあります。最新情報はInstagramでチェックしましょう!

所在地:岐阜県大垣市新田町3丁目23-2

アクセス

  • 名阪近鉄バス「西濃運輸前」バス停から徒歩約4分
  • 名神高速道路「大垣IC」から車で約6分

駐車場:無料駐車場あり

営業時間:6:00~14:00

定休日:土・日・月曜

電話番号:0584-76-3708

ホームページhttps://irukanokosodate.simdif.com/

SNS:Instagram

まとめ

『いるかのこそだて』、食を通じて人と人をつなぎ、地域に新たな価値を生み出す活動です。与えるだけでなく、共に生き、支え合う――そんな温かなコミュニティづくりが、これからの子育てやまちづくりのヒントとなることでしょう。

代表の松好さんは明るくとても気さくな人柄で「私は裏表の裏しかないから(笑)」なんてよくおっしゃってましたが、どんな人にも分け隔てなく平等に接することができる素敵な方です。子どもたちが良くない行動をしてるときは親の目の前でもしっかりと注意するなど、人のため地域のためをいつも考えられています。

松好さんに人を引き寄せる力があるのか、『café & kitchen どるふぃん』へ行くと繋がりが広がり、思わずビジネスチャンスに繋がったりすることもあるそうです。インタビュー内容の他にももっとたくさんのお話をしていただきましたが、5分の1くらいしか載せられませんでした。他の話も素敵なお話ばかりでした。気になる方はぜひ一度足を運んでみてくださいね。

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この記事を書いた人

岐阜で子育てをしている、岐阜へ訪れる子育て中の方々へ、岐阜の魅力を伝えるブログサイトです。岐阜で子どもと一緒に楽しめるスポット、育児のお役立ち情報、親子で楽しめるイベント情報、子連れで通いやすいサロンや子育て中でも働きやすい求人情報まで、子育てをもっと楽しめる情報を発信しています。

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