近年、子どもの貧困問題が社会的な課題として注目を集める中、全国各地で子ども食堂の取り組みが広がっています。岐阜県でも、地域の子どもたちを支援するさまざまな子ども食堂が活動しています。今回は、山県市で活動する子ども食堂『にこぺこぐう』の取り組みに焦点を当て、その活動内容や意義、地域社会への影響について詳しく紹介します。
子ども食堂とは?
まずは子ども食堂という取り組みについておさらいしましょう。子ども食堂とは、経済的な理由や家庭の事情により、十分な食事を取ることができない子どもたちに、無料または低価格で栄養バランスの取れた食事を提供することを目的とした場所です。単なる食事の提供にとどまらず、子どもたちの居場所づくりや学習支援、地域コミュニティの形成など、多様な役割を果たしています。
2023年の調査によると、全国の子ども食堂の数は9,131箇所に上り、年々増加傾向にあります。この数字からも、子ども食堂の社会的な重要性と需要の高さがうかがえます。
参考:こども食堂の数、全国の公立中学校数とほぼ並ぶ「9,131箇所」に増加 ~2023年度こども食堂全国箇所数調査結果を発表~(2023年12月速報値)
現在は、子どもだけでなく、高齢者、障がい者、外国人、ひとり親家庭など、さまざまな立場の人々が集い、共に食事を楽しみ、地域全体のつながりを深めることを目的とする場としての地域食堂という呼ばれ方をすることもあります。

山県市の子ども食堂『にこぺこぐう』
『にこぺこぐう』は、山県市に位置する古民家を活用した子ども食堂です。代表の前平美由紀さん(通称:みいちゃん)と仲良しさん達で、2022年10月に開設されました。地域の人たちが気軽に集まり、季節の食材を使った食事を楽しみながら、学びや交流の場を作っています。
にこぺこぐうの活動内容
栄養バランスの取れた食事の提供
にこぺこぐうでは、地域の人たちの協力を得て、栄養バランスの取れた手作りの食事を提供しています。主に地元の農家や企業からの寄付を活用し、子どもたちに人気のメニューを工夫したり、旬の食材を使った温かい料理が特徴です。子どもたちは無料で食事ができ、大人は500円で参加できます。
地域との連携
地域企業や自治体、ボランティア団体と連携し、七夕祭りやクリスマス会など季節に合わせまざまなイベントやワークショップを開催しています。例えば、地元の建築会社と協力して木工教室を開いたり、農家と連携して収穫体験を実施するなど、子どもたちが多様な経験を積み、楽しみながら社会性を身につける機会を提供しています。
相談支援
子どもたちや保護者が抱える悩みや問題について、保育士のみいちゃんをはじめ、専門家による相談支援も行っています。必要に応じて、行政や専門機関と連携し、適切なサポートにつなげる役割も果たしています。

みいちゃんにインタビュー!
にこぺこぐう代表のみいちゃんに、活動のきっかけや思いをききました。
- - 子ども食堂を始めようと思ったきっかけを教えてください。
『にこぺこぐう』は、もともとは子ども食堂ではなく、私と仲間たちで行っていた地域の自主団体の名前なんです。当時の職場をを退職した後、仕事を通じて知り合った仲良しの人たちと何かやりたい!と思い、地域の親子を集めてみんなで公園に行ったり、ご飯を食べたり、クリスマス会をしたりという、地域の親子活動を始めました。それが『にこぺこぐう』の始まりです。
コロナ渦になり、人との繋がりが絶たれる寂しさを意識するようになり、地域の人が集まれる居場所を作りたいと思いました。『にこぺこぐう食堂』を作りたいと市に掛け合い、さまざまな人のご縁と力を借りて古民家『にこぺこぐう』が誕生しました。子ども食堂はそこでの活動のひとつです。「子ども食堂」として助成をいただいて運営していますが、私としては子どもだけでなく、0歳~終身まで誰もが集まってみんなでご飯を食べる「地域食堂」として運営しています。
- 『にこぺこぐう』とはどんな意味なのでしょうか。
「にこ」は、活動する・遊ぶ・学ぶ。「ぺこ」はお腹がすいたら、みんなで同じ釜の飯を食べる、感謝をする。「ぐう」は、寝るだけではなく、心が休める場があること。それで『にこぺこぐう』です。要はくうねるあそぶということなのですが、これは人間の基本的な暮らしであり、ひとつでも欠けると、ちょっと元気がなくなったり心身が辛くなったりする、生きていくのにとても大切なことだと思います。それらをみんなで共有していきたいという思いが詰まっています。
- - 『にこぺこぐう』の活動を通してどんなことを目指していますか?
「子ども食堂」というと貧困の救済というようなイメージが強いのですが、私の目指しているのはそれだけではなく、にこぺこぐうに誰でも来たい人が集まり、みんなで温かい食事や暮らしをする場として存在していきたいと考えています。
立場や身分は関係なく、苦しい人もしんどい人も楽しい人も幸せな人も、どんな人でも集まって食事を通して交流し「幸せのわけっこ」がしたいと思っています。「幸せ」を分けるだけでなく、「苦しい」や「しんどい」もみんなで分け合って、その状況が少しでも良くなるようにみんなで考える、助け合う。それが「幸せのわけっこ」です。
「つらい時に人を頼る」ことが、現代ではいけないことのようになっているように感じます。でも、人は人を頼っていいんです。人と人が助け合う、そんな姿を見た子どもたちはそれが当たり前になっていくと思います。
食堂以外にも、様々な活動やワークショップを開催しているので、子ども達がその経験を通して、また携わる大人たちを見て、自分は何がしたいか?そんな風に考えられる人に育って欲しいと思っています。
にこぺこぐうがある山県市の美山地区には、「人と人は助け合うのが当たり前」という空気が残っています。それを後世にも伝え続けていきたい。みんなで交流し知恵を出し「育ちあう」。そんな場所にしたいと思い活動しています。
- - 『にこぺこぐう』の注目ポイントを教えてください。
にこぺこぐうには、地元の方のご好意でいろんなお野菜や食材が届きます。また、地域の人々が梅干しや柚子等を提供してくれ、共同で保存食を作ることもあります。第1・第3水曜の食堂ではそんな地元産の旬を感じられる食材を使った手作りのおいしい料理が食べられます。
また、にこぺこぐうの鉄板メニューは釜戸炊きご飯と重ね煮のお味噌汁です。
「重ね煮」という調理法は塩と野菜などの具を陰陽の法則に合わせ重ね蒸す調理法です。東洋では、すべての食材に対して陰と陽という考え方がありますが、例えば、椎茸は上に向かってグーっと育ち、玉ねぎや人参は土の下にグーっと入っていく、そういった食物の力が鍋の中で対流し旨みがいっぱいの味噌汁になります。釜戸の炭の香りがする古民家で食べるご飯とお味噌汁は絶品です。おかわりも自由、全ての食材に感謝をし美味しくお腹一杯になってください。
- - その他メッセージがありましたらご自由にどうぞ!
食堂は毎月第1・第3水曜の2回開いていますが、それ以外に私の大切な活動『幸せのわけっこ家』があります。
女性が妊娠、出産を経て我が子との暮らしが始まった時、頼れる人、どんなに些細なことでもわからない事を聞ける人が傍にいたら、どんなに安心して暮らすことが出来るだろう。そして、その安心感が親子の幸せに繋がる事は私自身が心底実感してきたことでした。ならば、私がみんなの傍で共に聴き考え行動する人になろう、そう考えて始めた活動です。
親子の絆をより深めるふれあい(わらべうた・ベビーマッサージ)食べることの大切さ(離乳食・四季折々日本の野菜と調理の仕方・調味料)五感いっぱいにいろんな体験をみんなで楽しむ”おやこ園”など、みんなの知りたい、学びたいに寄り添う活動は多岐に渡ります。
活動の情報はInstagramで随時発信しています。また、子育てでお困りごとを抱えている方はぜひお気軽に公式LINEからご連絡ください。また昨年、にこぺこぐうのような地域食堂をやってみたいと私のもとへ話を聞きにいらして、実際にこども食堂を始められた方もいます。そんな風に、にこぺこぐうのような活動を日本中へ広げたいので、私の思いをお話する機会が欲しいです。「にこぺこぐうの活動の話が聞いてみたい!」「みいちゃんと話してみたい!」と思った方もぜひご連絡くださいね!

みいちゃん(前平美由紀さん)
子ども食堂・地域食堂「にこぺこぐう」代表
幸せのわけっこ家 経営
保育士
座右の銘は
「元気があれば何でも出来る」
子ども食堂『にこぺこぐう』に行ってみた!
子ども食堂『にこぺこぐう』に娘と参加してきたレポートをお送りします!
岐阜市(南部)から車で約1時間。山県市街を抜け、峠道を上ったり下ったりして到着!駐車場は近隣空き駐車場や西武芸公民館近辺の駐車場を利用します。(詳細は直接お問い合わせくださいね。)

まずは受付。単発利用の場合は3日前までに登録や予約をしましょう。私は今回当日に連絡させていただいたらたまたまキャンセルが出たとのことでお伺いしましたが、LINE連絡のやり取りのタイミングが合わず受付でお手間を取らせてしまいました…。でも優しく対応してもらいとても安心できました。私のような方はそうそういないと思いますが、初めての方は事前予約必須です!
大人分の料金(500円)を支払い、初めてなので簡単に説明を受けて受付終了。

玄関をくぐると、さすが古民家ならではの雰囲気で広い土間が。そして靴がぎっしり!
お正月に親戚の家に来たような懐かしい感覚がよみがえりました。
内向的な性格で、話しかけられても基本塩対応の人見知り娘も温かく迎え入れてくださりジーンとする母でした。


入ってすぐ右に配膳コーナー。ワンプレートのおかずを取り、お味噌汁とご飯をよそってお食事開始です。
この日のメニューは、釜戸焚きごはん、重ね煮お味噌汁、あまごの米粉揚げ、静岡さつまいも蒸し、ふき味噌、ほうれん草のナムル、春キャベツ&春雨のサラダ、ふきのとうの米粉天ぷら、掛川みかん。(2月に伺いました。)
お手伝いボランティアさんへの手書きの温かいメッセージも素敵。

ふきのとうなんて何年ぶりに食べたやら!娘は初めて食べました。これもいい経験ですね。
旬の食材がいっぱいでワクワクです。天ぷらになった「あまご」は地元の方提供だそう。みいちゃんの呼びかけで、みんなで感謝を伝えました。
ご飯に載っているふき味噌は、制作者のみいちゃんも自画自賛の大絶賛でたくさんおかわりされてました笑。ふきのとうの僅かな苦みとお味噌のコクと風味がご飯にとてもマッチして確かにかなりご飯が進みました!どれもおいしいのに写真の腕が残念…。



お台所にはエプロン姿のお手伝いボランティアさんがいっぱい!料理の説明なども快く気さくにしてくださり、とてもありがたかったです。


ご飯を食べ終わった子ども達はお遊びタイム!保護者さん達も団らんタイムです。
代表のみいちゃんは入れ代わり立ち代わりたくさんの方に声をかけられ、時にお客さんのお話にじっくりと耳を傾けていらっしゃいました。常に笑顔で明るく、大らかで親しみやすい素敵なお人柄をものすごく感じました。みいちゃん以外にも、しょっちゅう「いらっしゃ~い!」「たくさん食べてってねー!」などの声が飛び交っていて、とにかく温かくてとても素敵な空間でした。
『にこぺこぐう』ギャラリー

渋い!かっこいい!



すごくいい雰囲気!


ご飯の前はしっかり手を洗いましょう
アクセス
所在地:山県市岩佐250-2
アクセス:
- 東海北陸道「美濃IC」から車で約20分
- 岐阜バス関板取線「中洞」バス停下車徒歩約8分
駐車場:あり(古民家近隣駐車場、西武芸公民館近辺)
料金: 子ども無料、大人500円
開催日時:第1・第3水曜日 16:30〜20:00(L.O. 19:30)
お問い合わせ:にこぺこぐう公式LINE、にこぺこぐうInstagram




まとめ
山県市で活動する子ども食堂『にこぺこぐう』は、地域の子どもたちに食事を提供する存在だけでなく、地域の交流の場としても重要な場所です。単なる子ども食堂ではなく、地域全体のつながりを深める温かいみんなの居場所です。食事やイベントを通じて、子どもたちの成長を支え、地域全体が助け合う文化を育む「地域食堂」でした。
また今回、みいちゃんにじっくりお話を聞く機会をいただき、明るく本当に懐深いお人柄を感じました。始終笑いっぱなしで楽しくお話しさせていただきましたが、ここには書ききれないほど深く大きいたくさんのみいちゃんの思いも伺うことができました。もっともっと書けたらよかったのですが、書ききれないのが本当に悔しいので、ぜひ毎月第1・第3水曜日の「にこぺこぐう」にご飯を食べに行って欲しいです。または、公式LINEからみいちゃんに連絡してみてくださいね。










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